Research introduction(研究紹介)

近赤外光イメージングと分光法
(Near-infrared imaging and spectroscopy)

  • 生体・農産物・食品などの媒体に対して,近赤外の波長帯域(生体を対象とする場合には600-1100 nm)の光を当てることによって,媒体の化学的情報や構造情報を非侵襲・非破壊的に評価することができます.
  • 生体への応用例として,網膜の断層撮影,脳機能イメージングが挙げられます.赤血球中のヘモグロビンや筋中のミオグロビンは酸素の結合の有無によって光の吸収特性が異なります.この特性を利用して血中の酸素飽和度が計測することができます.医療へ広く普及されている技術として,パルスオキシメーターがあります.脳内の血液酸素状態の計測より脳活動を測定する手法は機能的近赤外分光法(functional NIRS: fNIRS)と呼ばれています.fNIRSによる臨床応用について,2002年に言語機能の診断に対する保険適用,2014年にうつ症状の鑑別診断補助として保険適用となっています.
  • 農産物への応用例として,糖度や熟度などの品質評価が挙げられます.糖度保証などを行うことで,農産物のブランド化につながっています.近所のスーパーで果物(桃やメロン)の糖度保証の広告を見ることができます.

光音響イメージングと分光法
(Photoacoustic imaging and spectroscopy)

  • レーザーを媒体に照射すると,膨張と収縮を経て圧力波(光音響波)が発生します.この光音響効果を利用した技術が,光音響光音響イメージングや分光法です.光イメージングの特徴である高いコントラストと音響イメージングの特徴である高い解像度の両方を光音響イメージングは有しているため,近年急速に発展しています.

光学特性値,光と圧力伝播モデル
(Optical properties, light and pressure propagation models)

  • 光イメージングや分光法の研究課題として,「深部におけるイメージングや分光法の開発」があります.使用される光の波長帯域では,生体や農産物による光吸収は小さく,より内部まで伝播することが可能ですが,散乱によって,幾度も方向を変えながら伝播することになります.光散乱によって,画像のコントラストが失われ,特性の評価精度が低下してしまいます.光音響分光法についても,媒体の深部で発生した光音響波は光散乱に強く影響を受けます.課題解決のためには,光の吸収と散乱過程を定量化する「光学特性値」を算出し,生体内の光伝播を定量的に評価することが重要です.
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  • 近赤外光イメージングや近赤外分光法の技術発展のためには,様々な媒体(生体や農産物など)における光学特性値を算出し,データベース化することが重要です.光を媒体に当てると光は吸収され,散乱されます.吸収過程を定量化する物性値が吸収係数,散乱過程を定量化する物性値が散乱特性(散乱係数や異方性因子など)です.また,媒体内部で光がどのように伝播しているのか,調べることも重要です.光伝播を記述する数理モデル・物理モデルが光伝播モデルです.
  • 光の吸収係数は生体の酸素化・脱酸素化ヘモグロビンやメラニン,農産物では糖類などの化学組成と関係しています.光の散乱特性は生体や農産物の構造特性と関係しています.これらの関係性より光を用いて媒体の化学特性や構造特性を評価することができるため,媒体の光学特性をデータベース化することは非常に重要です.
  • 光伝播モデルとして,光をエネルギー粒子として捉えた輻射(ふくしゃ)輸送論が使用されています.圧力伝播モデルとして,光音響理論が使用されています.

光強度の時間分解計測
(Time-resolved measurement of light intensity)

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拡散相関分光法(拡散波分光法)
(Diffuse correlation spectroscopy)

  • under construction